写真を使った園主の日記です。

本日は晴、京都市内の椿の名所めぐり決行 早回りの一日でした。 その4 有名な椿 有楽が咲く等持院へ

2020.01.17

本日は晴、京都市内の椿の名所めぐり決行 早回りの一日でした。 その4 有名な椿 有楽が咲く等持院へ はコメントを受け付けていません

京都に長く住んで始めてお参りする等持院。やっと見つけた駐車場から歩いて行きますと、目に止まったのは多分「ソヨゴ」では。
そのソヨゴから方丈へとお参りする参道は通行止。何やら解体修理をされている様子。
山門をくぐり、書院へ。臨済宗天龍寺派だけあって、書院作りの入口。
その庭にはイワヒバが育っているのでした。
拝観料をお払いし、お庭に。そこにはクチナシの赤い実が実に美しかったこと。
案内いただきました「有楽椿」はこの芙蓉池の築山の中心部に植えられており、創建当時1300年代、数えば600年以上の歴史のあるお寺です。歴史ある等持院のこの庭は夢窓疎石作とされていますが、その後に改作されているのでは、その折に有楽椿が植えられたのでは。その当時はどのような名前で呼ばれていたのでしょうか。築山の中心を為す大きな木が有楽椿です。
庭の左手に見えるのが茶室清漣亭といわれ1457年に尊氏100年忌に建てられたようです。おそらくはこの茶室が建てられた時に庭は改作され、有楽椿も植えられたのでは。
お目当ての有楽椿、咲き始めなのですがたくさん咲いていました。幹周り100cmを超えるといわれ、樹齢は相当なもの。この有楽椿を調べますと、学術的にも注目されているのはかなり以前より、とのことがわかりました。
調べると子房に毛があるという本邦産のツバキ(ヤブツバキ)と異なる点です。そして染色体も異なり、中国にあるツバキ属はほとんどが有毛とのこと。考えられることは中国からの渡来か種間雑種と思われてきた歴史がありました。
その雑種の親はといいますと、日本のヤブツバキによく似たピタールツバキ(貴州省、雲南省、広西省に分布)が近年のDNA鑑定でわかってきたようです。
有楽椿の由来は茶人の有楽斉がことのほか好んだ椿であったことから呼ばれたとのこと。おそらくは臨済宗建仁寺派の高台寺月真院には、有楽斉自らのお手植えとの言い伝えのある太郎冠者の大木が育っているところから、有楽椿と呼ばれるようになったと思われます。
その当時は太郎冠者と呼ばれていたのでしょうか。いずれにしましても有楽椿はその時代には賞翫されていたということになります。有楽斉は戦国の武将であり、織田信長の実弟、時代は室町時代から安土桃山、そして徳川時代を生きた人です。茶の湯を利休に習い「利休十哲」に数えられました。茶道有楽流、いわゆる大名茶でした。
それはそれとして、有楽の咲き始めです。
次々と咲く有楽。
いかがでしょうか、この有楽。
静寂な中で凛として咲く有楽。
咲き始めだけに散椿もこれからです。話は変わりますが、こんなところにもウマスギゴケが見られました。
環境が合わないだけに充分に育っているとはいえませんが、何百年間生き続けているウマスギゴケと思われます。
茶室の清漣亭脇に椿の「月の輪」と思われる木が植えられていました。
多分「月の輪」だろうと思うのですが。
株元には乾燥を防止するよう、職人さんの気くばりが見られます。
有楽椿と離れ際には再度、見るのでした。
午後からは曇り。少し光線量の不足でしたが、名残こりの有楽です。
再度おたずねをしたいと思いながらの別れの有楽でした。
庭にはアリドオシが長い月日の間に自然生えしたのでしょうか。
赤い実がたくさんついてます。一両とはよくいったものです。
散策しておりますとヤマトフデゴケが目に入りました。
こんなところでヤマトフデゴケが自生するとは、と思いながら庭に張るのにはどうしたらよいかと考えてしまいます。
こちらにはハイゴケらしい苔が育っています。
少し乾燥しているだけに縮んでしまっているハイゴケ。雨の後はきれいに見えるはずです。
現在工事中の方丈です。
その方丈あたりから見る有楽椿は、やはり、この庭の中心を為すよう設計されていたのでは。
庭を回らせていただき元の書院へ。有楽椿が築山の中心と為して、花の見られない冬から早春の庭を演出してくれるよう作庭してあるのでは。そしてその有楽椿を使って書院の茶、草庵の茶というように茶会が開かれたことかと。
咲き始めですから目につかないのですが、満開になればさぞ美しい景観になるのでは。
玄関にて入りました折には気がつかなかったのですが、正月の飾りに餅花が生けてありました。白餅だけで作られている少しイメージを変えた餅花です。
山門にあるお庭には鬼瓦が演出されています。この庭を手入れされている植木職人さんの心ずかいですね。
いかがでしょうか、亀の鬼瓦。厄除けとして両屋根の端に飾られていたのでしょうが、現在はお役目も終えて、お訪れるお参いりの方々のおもてなしとなっているのでは。
帰りの参道には八重侘助の椿の花が咲いていました。植木職人さんの心ずかいでしょうか。

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