写真を使った園主の日記です。

2018年12月28日 苔・コケ販売 シダ植物販売 樹木・花木販売
生育地を訪ねる(5) 於 和歌山県 

2019.02.18

2018年12月28日 苔・コケ販売 シダ植物販売 樹木・花木販売

生育地を訪ねる(5) 於 和歌山県 
はコメントを受け付けていません

_IGP5120 _IGP5121
更に奥地へ車は走って行くのですが、するとマンリョウの野生種、かなり大きい株が目に入りました。
この大きさになるまで自然ではかなりの年数ではと思うのですが、やはり日照の少ない、薄暗いところに自生は見られます。
_IGP5122 _IGP5123
アサマリンドウです。
やはり冬の寒さによって休眠状態になりかけています。年が明けて1月2日の本格的な寒気で、この辺りも雪が積もることも、その頃には地上部も消えているのではと思います。
そして、大きなイワナンテンです。
この辺り一帯、あちらこちらにその自生が見られ、環境が適していることがよくわかります。つまり、国内種のイワナンテンは日陰の花木ですねえ。
そして下垂性だけにキイジョウロウホトトギスと同様、崖にその生育する姿が見られます。
_IGP5129 _IGP5131
マンリョウとまた出会えました。
この辺りは環境が適しているのでしょうか。やはり日陰の樹木、花木ですねえ。この谷は日照も少ないのではと思います。
江戸時代に流行した植物、当時冬の観賞植物として持て囃されたのはわかる気がいたします。
_IGP5132 _IGP5133
車は少し開けたところへ出てきました。
するとそこにはコスギゴケが育っているのでした。
_IGP5134 _IGP5136
辺りは天然林が切り開かれているところでした。多分植林を待っているのでは。そんな瓦礫の岩場にコスギゴケは育っているのでした。
_IGP5139 _IGP5141
林道の下には谷が、その林道ののり面には小型のホウオウゴケがよく育っているのでした。
_IGP5142 _IGP5143
ホウオウゴケの種類はといいますと、今後の鑑定を待たねばなりませんが、それはサンプリングさせていただきました。 巨木の二又には腐葉土が積もり、そこにはクリハランであったり、シシランであったりするシダが育っておりました。
_IGP5145 _IGP5147
更に車は走って行きますと、今度はセンリョウに出会いました。
山で見るセンリョウは初めてのこと。珍しさもあって「あるんやなあ」と独り言をつぶやいているのでした。
_IGP5148 _IGP5149
次に、水の流れの枯れた山の斜面の谷、そこにはホウオウゴケが大きな石に着生しているのでした。水が切れているせいか、少し痩せ細っている感じがいたします。
_IGP5150 _IGP5151
或いは、水が切れて月日が経ているのか、ホウオウゴケも茶色変色を始めているのでした。
おそらくは休眠に入っている、強制休眠ですが、ある時期、例えば梅雨期の連日雨が降る頃には復活するのではと思います。
いずれにしましても、この山といいますか、付近一帯は乾燥した地帯です。
_IGP5152 _IGP5154
ある谷川にかかるコンクリート橋を渡ると、その谷にはクリハランの群生が見られました。
日陰で水を好むようなシダであることがわかります。
そのコンクリート橋にはこのような苔が育っていました。
比較的乾燥に強いのかもしれません。
_IGP5155 _IGP5156
しばらく走ると、案内してくれているドライバーでもある知人が「オオカサゴケですわ」との一声。どこどこと見回すとあるのでした。 通常オオカサゴケは地表面に育っている場合がほとんどなのですが、ここでは岩場に着生してオオカサゴケの姿があるのでした。
多分わずかの腐葉土の層に育っているのではと思います。
_IGP5157 _IGP5158
このオオカサゴケ、コケだけに岩場に着生して育っているのには驚きです。おそらくは岩場に元々育っていた他の苔の上に、胞子で育って行ったのではと思います。 乾いた岩場にはオオカサゴケのミイラが見られるのでした。おそらく梅雨期の雨の多い季節にはよく育っているのでは。

元々乾燥地帯のこの山、オオカサゴケがこのように育っているとは考えられないのですが、不思議なことがあるものです。考えられることは、紀伊山地、我国では年間降雨量の多い土地柄、オオカサゴケには好適な環境。
ところがこの違いは乾燥する山のようです。すると、降雨量の少ない季節はこのような状態になるのでは、ともかくもよく乾燥に耐えて、毎年育っているものと考えられます。

_IGP5159 _IGP5161
乾燥に耐えて育っているそのオオカサゴケです。
きっとこの上面には、オオカサゴケが連なって育っているかと思われます。
_IGP5162 _IGP5163
一路林道は一本道を進んで行くのですが、フデゴケの生育地へ入って行きました。 そこにはツルリンドウの赤く色づいた実が見られるのでした。
普段育てようとするとなかなか難しいツルリンドウですが、涼しい山の中では野生状態でこのように育っているのです。
_IGP5165 _IGP5166
こちらにもフデゴケが。 ハイゴケと混生して生育しているフデゴケの生育環境、それなりに明るいところでもあります。
_IGP5167 _IGP5168
こちらは完全に休眠状態になっているアサマリンドウが見られました。
枯れているだけに少し見にくいのですが。
雑木の向こうに見える崖の岩場はフデゴケの群生のようです。
_IGP5169
いかがでしょうか。
フデゴケのコロニーは少し乾燥地帯なので、生育は今一歩と思えぬこともないかと思われます。
_IGP5170 _IGP5171
しばらく走りますと、今度は土壌豊かな森林地帯、案内係は「キナンカンアオイですわ」といって車を停めてくれました。 このキナンカンアオイの群落を形成するには、何十年と月日は経ているのではと思われる程、株があちらこちらに見られるのです。
_IGP5172 _IGP5173
いかがでしょうか。自然のキナンカンアオイの崖に育っているその姿は。
滅多に見られるものではないかと思われます。
_IGP5174 _IGP5175
そしてそれらの花が咲いているのでした。
極めてラッキーでした。
_IGP5176 _IGP5177
車はキナンカンアオイを後にして、一路林道を走るのでした。次に出会えたのはコンクリート壁に見られるホウオウゴケ。長年生育し、よく育っている姿が見られます。
_IGP5178 _IGP5179
どうもこの姿からトサカホウオウゴケではと思うのですが、正しくは後程に。 日は西に傾きかけてくるのですが、林道はどこまでも、すると大きな岩にぶつかるのでした。
その岩場にはフデゴケが、乾燥する岩の上で育っているのでした。よく見ると足元には岩を砕いた砕石が摘まれているのでした。
よく考えてみるとこの林道の道幅を広げる拡張工事であったような。そのせいか痩せこけたフデゴケが皮をめくったように地面にたくさん落ちているのでした。
貴重なフデゴケでしたので、4枚を拾ってしまいました。
フデゴケの育て方を考えてみたいと思います。
_IGP5181 _IGP5182
その乾燥した岩に張り付くように育っているフデゴケです。
いずれはなくなるであろうこの大きな岩です。フデゴケの姿を記念に。
やはり生育不良気味に育っていることがよくわかるフデゴケです。
その昔はそうでなかったのかもしれませんが、このコロニーを形成するのにも何十年の月日はかかっているのではと思います。
_IGP5185 _IGP5187
その脇道のような林道、今度は遠めでもすぐわかる赤い実の集団、落葉した木々にぶら下がる姿が目に入りました。
_IGP5188 _IGP5191
サメカズラです。園芸的にはビナンカズラと呼ばれることが多いかと思います。
調べますと雌雄異株、どうりで実がつかないといわれるビナンカズラ、自然では雄木もどこかに潜んで育っているのでしょうねえ。たくさんの実をつけてくれています。
盆栽業界では色々な説があるのですが、「雄木が必要」という決定的なコメントは聞かれません。今後雄木を何としなければと思います。
_IGP5192 _IGP5193
そして次に目にしたのは、紀州産 コメツツジ。
天然林の林床に密生するがごとく沢山自生しているのでした。きっと春には美しい小輪のツツジが咲きそろっているのではと思いました。
_IGP5194 _IGP5195
ようやく日が西に傾いた頃、原生林を切り開いたようなところに車は出たのでした。そしてその林道の崖にはコスギゴケが一面育っているのでした。
_IGP5196 _IGP5198
そしてコスギゴケは日照を好むのではと思われます。
何しろ切り開け、明るいところにはこのコスギゴケばかりですから。
_IGP5199 _IGP5202
そのコスギゴケが育つ岩場がある斜面にはウラジロといわれるシダの大群落があったのです。
そして赤い実が目に付くセンリョウも日陰となって、よく育っているのでした。
このセンリョウ、日陰ながらも明るい日陰で風通しも良く、よく締まった理想的なセンリョウに育っているのでした。
_IGP5204 _IGP5205
それにしてもこのウラジロ、正月の飾りに使う習慣のある日本、需要は減ったとはいえ、十分にまかなえる量ではと思います。 そのウラジロの下に隠れるように育っているこれまた大きな株のセンリョウがあったのです。
_IGP5207 _IGP5208
それはそれは大きな株のセンリョウ、しかもよく締まり、実付きもいっぱいで特上品クラスですねえ。
この山の裾野でセンリョウの切花栽培をするときっと良品が出来るのではと思います。
_IGP5209 _IGP5211
切り開かれた山の斜面を見渡すとウラジロの大群落。天然林を切り開いて何年経ているのか、ウラジロもよく育つものです。
_IGP5212 _IGP5213
ウラジロの大パノラマ風景です。
どうも鹿はこのウラジロは食べないようです。その結果大繁殖となりました。
山の斜面、下を見ますとマンリョウが日に当たりよく締まって育っているのでした。
なかなか立派な株となっておりました。それでも焼けずに育っており、条件によってはこのように育つことがわかりました。
明るい間に里へ降りることとなり、終の取材はスルーとなりました次第です。

関連記事

コメントは利用できません。

カテゴリー