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楽焼植木鉢 愛楽園

焼成温度はだいたい1250℃前後かということでした。


    愛楽園 錦鉢/テッセン 富貴蘭鉢 5号 正三作

3. 愛楽園

現在愛楽園では3代目が毎日鉢作りに精を出しておられ、工場の案内をしていただきました。

初代は東京手嶋窯で修業され安城市に帰郷。楽焼き植木鉢の「愛楽園」として窯を築かれました。当方が開園しました平成の初め、或はそれより以前の昭和の末期にはお元気な姿を見せていただいておりました。

その頃に絵付師として活躍しておられたのが「正三」さんでした。
●正三作 錦鉢
  テッセン・・・晩年の頃の作
  唐草・・・・・使用しておられた鉢を入手。最盛期の正三作?

 

 
テッセン 富貴蘭鉢 5号 正三作/底面
唐草 万年青鉢 3.5号 正三作 唐草 万年青鉢 3.5号 正三作/底面
元々京都で焼かれた楽焼植木鉢は量的にも多くなかったと思われ、本来の楽茶碗はタタラ製法による手づくり、そして楽鉢も手ロクロによる作りではなかったかと思われます。 現在、三河で焼かれている楽鉢は石膏の型に粘土を入れてロクロを回し、内側よりコテで整型する「水コテ」といわれる技法に依る製法をとられています。 この技術は大量生産には規格が決まり、国内ではその産地も、こと植木鉢に関しては広く普及しているかと思われます。 いつの頃よりこの技術が採りいれられたのか、機会があれば聞いてみたいと思います。

 

(1) 長生蘭鉢(切高台鉢)の製作の例
お訪ねしました日がたまたま長生蘭鉢(切高台鉢)の生産の日に当たっておられたのか、取材をさせていただきました。 右側に置かれているのは長生蘭鉢の原型です。水コテといわれる石膏の型から抜いたところです。
余談ですが、この石膏の型が粘土から水分を吸収する作用があり、回している間に粘土から水分をうばい、整形時には手で抜きやすくなっているところからうまく考えられたものです。
左側は少し乾かしてから、その水コテから抜いた原型をロクロにてヘラで削りをイレ、余分な水を落とし薄く仕上げています。この方法により通気性良く、早く乾きやすい特性が生まれます。
上記の技術は春蘭鉢、万年青鉢等各種楽鉢に採りいれられ製作されています。
右側は石膏の型から抜き出したところです。
左側はその原型をロクロにてヘラで削りを入れ、余分な土を落とし薄く仕上げています。
左側の整形後は地肌も荒くなっており、そして縁の裏側もそり落とされ、掛け枠、置き枠に安定して置けるよう削られています。
(2) 春蘭鉢
整形後、足をつけられ、乾燥されているところです。
(3) 窯入れ(素焼き)
上には乾燥させた春蘭鉢がたくさん積み重ねられています。 下には長生蘭(石斛鉢)が入れられています。
(4) 焼きあがった素焼鉢
長生蘭切高台各種。色違いは窯の中の湿度差によって焼上がりに変化がでます。(それを窯変というのですが)
そして、この長生蘭鉢は黒焼鉢の人気が現在無く、変わりに富貴蘭用の素焼鉢として人気があり、そのままの状態で出荷されます。
春蘭鉢です。いつ頃からあったのか、かなりほこりを被っていました。
(5) 京楽焼 植木鉢の土の厚さ
①初めに型から取り出した鉢の原型を少し乾いたところでロクロにより「削り」を入れまして鉢の厚さを限りなく薄く削っていきます。
②それによって軽く、そして更に通気性、排水性が良くなっていきます。
③その鉢の厚さは職人の感によるところが大なのですが、割れた春蘭鉢がありましたので、見ていただくと良く分かります。
昔より鉢が転げますと破れやすく、置き枠、吊り枠という楽焼きの転こうを封じる道具も生まれて きたこともうなずけます
(6) 伝統的な三河楽鉢
①現在は三河地方で焼かれている京楽焼 植木鉢は、昔は炭を使った「窯」による焼成でしたが、現在では 大量焼成法となっております。
②そこで京楽焼 植木鉢の窯元である「愛楽園さん」にお願いしまして、昔使用されていた道具を見せていただきました。
鉢を「窯」から入れたり、取り出すハサミです。 その先です。この先端部分がハサミ跡として古鉢には残っています。
今では使われなくなった「窯の中に入れるサヤ」を見せていただきました。作業場の隅っこに置かれていました。 このサヤを大きな「窯」に入れ、回りには炭を入れて焼成して1300℃に上げ、その中に楽鉢を何個か入れられたとのこと。 このサヤの右手の裏側には「昭和27年」と刻まれておりました。
(7) 三代目 加茂真黒に挑戦
実は愛楽園さんでも炭を使った京都楽茶碗と同じ製法で楽鉢を作っておられたのですが、その時の窯の遺品が上記にあるサヤです。(スノコともいうのかもしれませんが)
先代はこの火バサミと窯を使っておられたのですが、昭和40年代に入り、現代の焼成法、つまりガス窯となったのです。但し、高温の窯に入れ釉薬が溶け出す頃を見計らって窯から取り出し、真っ赤になった鉢を水に浸ける本来の楽焼そのままです。由に京楽焼とされているわけですが。
話しは長くなりましたが、やはり三代目、炭で焼いておられた初代、二代目は加茂真黒を使用しての楽鉢。それを再現したい一心で焼かれたのがこの万年青鉢です。
焼かれたのは2000年8月京都五条坂の陶器市で川嵜さんに会う前に愛楽園さんより預かったかと思います。「石田さん、加茂真黒を使って焼いたのですがうまく焼けません。」と聞き、それで京都の楽焼は今でも加茂真黒を使っているはずですから、一度聞いてみますといってお預かりしたわけです。

そして偶然にも五条坂で川㟢さんにお会いできたのですが、釉薬の話しをさせていただくと、「素人に話しをしても分からんだろうなぁ」との思いがあったのか「色々混ぜるんですよ。」との答え。

その後、釉薬屋さんへ行ったりしたのですが、三代目は短冊屋さんが万年青鉢を販売するため万年青会の展示会に出品。その時に釉薬の調合を聞かれたようでした。昨年の秋遅くに愛楽園さんをお訪ねすると加茂真黒を使った万年青鉢がたくさん焼かれていました。

短冊屋さんに聞いても失敗の連続でしたとのこと。長らく不明であった加茂真黒の調合、そしてやっと分かっても失敗の連続。失敗は成功の元と言いますが、やっと満足に焼けるようになりましたとの事。それが上記の作品です。

新年改めまして平成29年1月17日、愛楽園さんへ電話することがあり、ついでにと言っては何なのですが「愛楽園さん加茂真黒の釉薬の調合はインターネットで調べれば出ているのではありませんか?」と話しすると「そんな簡単な話しではないのですよ。」との返事。色々話しを聞くと「なるほど」です。粘土が変われば発色が変わるのです。

実は当方、楽焼の解説をするため色々調べる中で、インターネットでずいぶん参考になる事が多くありました。 話しは前後するのですが、三河楽焼鉢の源流が京都の楽茶碗にあり、その解説をしなければとの思いから、色々調べた結果でした。 その、調べた楽焼の解説を今後入力したいと思います。現代、気楽に使っている楽鉢がどのようにして現在にあるのか、知るのも良い事かと思う次第です。

(8) 近年の富貴蘭錦鉢の作品
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号/TD> 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 3.5号
富貴蘭錦鉢 3.5号 富貴蘭錦鉢 小菊 3.5号
富貴蘭錦鉢 白七宝 3.5号 富貴蘭錦鉢 七々子 3.5号
富貴蘭錦鉢 鶴 3.5号 富貴蘭錦鉢 波に扇子 3.5号
富貴蘭錦鉢 龍 3.5号 富貴蘭錦鉢 鶴に松 3.5号
富貴蘭錦鉢 鳥獣戯画 3.5号 富貴蘭錦鉢 墨絵山水 3.5号
富貴蘭錦鉢 雀 3.5号 富貴蘭錦鉢 鈴虫 3.5号
富貴蘭錦鉢 墨絵龍 3.5号 富貴蘭錦鉢 古典柄 3.5号
愛楽園 富貴蘭錦鉢 古典柄 3.5号 富貴蘭錦鉢 白竜 3.5号
 
富貴蘭錦鉢 色絵山水 3.5号  

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