育て方や品種の紹介等の解説ページです

素焼き鉢

1. 近年まで三河地方で洋蘭用に手づくりともいえる素焼き鉢を焼いておられた窯元に「トモエ」さんと「市浜」さんがありました。

2. 弊園では両方のメーカーさんの鉢を取り扱っていましたが、特にトモエさんは本当によく取引をさせていただきました。

3. 今となっては両メーカーも廃業され、その鉢も見ることができなくなりましたが、幸いに少しばかり残っておりました鉢を御紹介いたします。

4. トモエ製 素焼き鉢

トモエ製の素焼き鉢の特徴
 粘土の特徴があり、早く乾燥するよう、例えば粘土に楽焼粘土を混ぜておられました。
そして水苔で蘭を植えつけられるのですが、水苔が乾いてくると鉢の色も乾いた色に変化するよう考えられた、洋蘭のプロが大量に生産されるには理想的な鉢でした。

 何しろ弊園では切高台を使ったセッコクを育てておりますと、雨蛙がミイラになっている場面が見られました。
それは雨蛙が鉢の上に乗ると、鉢が水分を吸収し離れられなくなったからです。それほど速乾性の鉢でした。

 蘭の根は空気を好み、早く乾くことが大事な要点です。
そのような意味でもトモエの鉢は人気でした。

 5.5号の素焼き鉢です。
主として洋蘭に使われたかと思います。
 3号深型です。
胴返しといいまして、高さと直径が同じように作られた鉢です。つまり深鉢です。
蘭の根は長く、深い鉢が必要であったと思います。
 セッコク鉢として造られた3号サイズです。
弊園がトモエさんとお付き合いをさせていただいたのは丁度30年前かと思います。
本当にこの鉢と出会えまして、弊園やり始めた頃ですので嬉しかったことが脳裏から離れません。

 左側の鉢は先代のおじいさんが鉢を抜いてその後ロクロで鹿皮を使って仕上げをしておられた、本当に手づくりの素焼き鉢でした。

 右側の鉢はおじいさんも亡くなられ、従来のやり方ができなくなった切高台です。
それでも乾きは早く人気も高かったことです。

 同じくセッコク鉢の3.5号素焼き鉢です。
この鉢も鹿皮で鞣してあるかと思いますが、後の作は縁が厚くなってきました。
 その頃トモエさん曰く、弊園が焼いた鉢の80%は引き取っていたとのこと。
懐かしい思いがいたします。

現在の旧トモエ製の再生鉢
 トモエも生産がストップしまして早3年程になります。
そしてどの洋蘭専門店も最後に在庫を積んだのですが、すでに底をついたかと思います。

 弊園では洋蘭生産者が使用しなくなった鉢を焼きなおし、コケ等を焼いて取り除いた鉢を仕入れ、販売しております。
それも限りがありますのでいつまで続くか…と思われます。

旧トモエ素焼き植木鉢 浅鉢
今から10年以上前になるかと思いますが、トモエさんが関西に配達に来られた折に見本鉢として置いていかれたのがこの浅鉢でした。
当時、洋ランのバイオのフラスコ苗のビン出しのコミュニティ苗用に製品化されたのがこの鉢でした。弊園では当に長生蘭、石斛が全盛で、この鉢は向きませんでした。今日(平成27年〜28年)多肉植物のセンペルビュームを駄温鉢の浅鉢(サツキ鉢)で育てますと、よく育つことが分かり、今後この素焼鉢の浅鉢で色々と試験するとともに、皆様にもおすすめしたいと思います。
2017年1月18日

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