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石斛(セッコク)・長生蘭 栽培のしおり

 石斛とはデンドロビウムの一種で、その性質は剛健で森林の樹木、または岩下に着生して生育する、いわゆる着生蘭の代表種です。その姿から「竹蘭」と呼ばれる地方もあります。
 江戸時代に鑑賞園芸植物として斑入り植物が流行し石斛も「長生蘭」と呼ばれ流行しました。近年は栽培が容易な上、花変わりが多数発見された結果、花物石斛は全国的に流行しています。


石斛の特性

 石斛の自生は九州・四国・本州とその周辺の島々に生育しています。北限は宮城県、あるいは岩手県あたりといわれていますが、耐寒性はかなりあります。冬戸外で凍り付いても(-10℃~-15℃)枯れず、春になると芽が吹きます。
 比較的日照条件の良い岩場に自生していることから、ラン科植物の中では、日照を好む種類です。
 自然の降雨のみの水分補給で1年をすごすことから、乾燥に強く、根も空気中に出ているので、空気を好む性質です。
 いいかえれば風蘭と異なり、貯水組織は茎にあり、根は反対に乾燥を好むため、水やりが多いと根は腐りやすい。
高さ10cm~30cm程度ですが、多数の節があり、一般のデンドロビウムと同じく、前年度の茎に芳香性の花を5月頃に咲かせます。
4月ごろになると茎の根際の新芽がふくらみ5~6月にかけて成長します。秋から冬にかけて寒さにあたり落葉し、休眠状態になります。


植え替えの方法

鉢から抜き、腐った根や古い水苔をきれいに取り除きます。
前もって湿らせておいた水苔を軽く握って芯を作り、その上に根を広げてのせます(A)
根を芯の上に落ち着かせて長めの苔でまきます(B)
鉢に植え、十分に水をやります(C)
水苔は少量で軽く植えること。


石斛・長生蘭の植え付け

 一般的には、素焼き鉢で水苔植えが普及しています。
 年一回、3月頃の植え替え(必ず実施すること。水苔が腐ると石斛も弱る)で毎年株が大きくなり、成長を楽しむ事ができます。
砂植え(春ラン用土が最適)は3~5年に一度の植え替えで十分成長し、管理はいたって簡単です。
 コルク板などなどに着生させる方法は、野生蘭特有の趣があり、管理も一年を通して木の下、軒先につるして楽しめる、野性味たっぷりの栽培方法です。自然派の趣味家におすすめします。20~30年は植え替えなしで、毎日水やりをするだけでそのまま栽培できます。

石斛・長生蘭の管理

水やりは植え替え方、用土によって異なりますが、1年を通じて乾けば水をやるという方法が最適です。根は空気を好みますから、乾湿の強弱をつけることが栽培上手になれるポイントです。水苔植えの標準的な水やりは2号鉢で週3回(春~秋)2.5号鉢で週2回程度。水やりの回数が多い場合は、根が腐り黒くなりますので次年度より回数を減らしてください。上手な水やりの場合は根が真白です。
肥料は無肥料で十分ですが、成長期に薄い液肥(所定の5倍くらい)を週1回ぐらいの割合で水やり代わりに施すと、生長が良くなります。あるいは、マグアンプKなどの化成肥料を植え替え時に置き肥として施肥すると良株ができます。
置き場所は1年を通じて50%~80%の遮光下で栽培するのが理想です。自然では森林に自生しているわけですから、冷涼な空気が常に流れております。置き場所でも風通しの良いところ、あるいはそのように工夫していただければ理想的です。実際にラン栽培用の吊金具を利用して空気中にぶらさげる方法。棚栽培の場合は、金網で棚を作り空気が棚下から吹き抜ける感じが良好な状態です。

石斛の増殖方法

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