育て方や品種の紹介等の解説ページです

苔の種類と特徴 5

 

苔の種類

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苔の種類と特徴

苔の種類と分類

1.ハイゴケ

(1) 自然のハイゴケ 夏の入荷

(ア)2017年の梅雨、6月は空梅雨 ハイゴケも焼けて入荷。

2017年6月19日 入荷情報
入梅といいながら雨が無く、ハイゴケも休眠状態。乾燥防止に茶色く焼けています。
自生地の条件、例えば日光がよく当たっている、或いは日陰、そして湿気のあるなしでハイゴケも様々。
青々したところも見られますが、大体このような生育状況かと思われます。
そして何年かに渡り、育っていましたハイゴケです。 この厚さに育つには、自然では数年かかっているかと思われます。
裏面です。おそらく岩場に育っていたのではと思います。

(イ)2017年6月22日の入荷情報。

2017年6月22日 入荷情報
一週間後、違う山で採取のハイゴケです。
中には、コンディションの良い、青々とはいきませんが、それなりのものが入荷しています。
天然ハイゴケとして販売できるのではと思います。

(ウ)弊園で養生しましたハイゴケです。

2017年7月1日撮影
6月19日入荷しましたハイゴケ入荷後、大量の注文があり、出荷しました後の残りを養生しました。
梅雨の雨でかなり青々としてきました。
6月22日入荷しましたハイゴケハイゴケもこのように育ってきました。
その青々したハイゴケの断面です。

(エ)2017年7月3日の入荷情報

2017年7月3日撮影
本格的な梅雨。毎日のように雨が降ります。自生地も多分毎日雨だったのでは。
入荷しましたハイゴケもぼとぼと。けれども青々とした立派な天然ハイゴケです。やはり雨の力です。
そして6月19日入荷のあの茶色く焼けたハイゴケが2週間の管理?で このようなグットコンディションのハイゴケに変身してきました。

2017年7月1日の紹介した(ウ)の養生苔のその後です。

6月19日に入荷しました空梅雨条件下での焼けた採取品のハイゴケの中で比較的青く育っていましたハイゴケを約1ヶ月梅雨空下で管理しましたハイゴケです。

こちらは6月22日に入荷しました「中にはコンディションの良い」ハイゴケです。

青々と育ってくれましたハイゴケです。連日の雨の中で好条件であっとことが幸いでした。
弊園では地下水が無いだけに水道水で人手による水やり。やれる日もあったりなかったりの日々です。 この梅雨はスプリンクラーによる自動灌水とほぼ同じ条件がこの季節です。
大量生産するハイゴケのポイントがここに見られるのではと思います。

(オ)2017年8月15日の生育状況

本年6月22日に入荷しました天然ハイゴケをその後肥培管理してまいりました。
約3ヶ月間の養生にて美しいハイゴケへと変身いたしました。

  8月19日入荷のハイゴケとの比較

(カ)2017年8月19日の入荷情報

2017年8月19日撮影
お盆前後も雨が多く、入荷のハイゴケも天然ハイゴケとしては標準的に育っているかと思います。

(キ)2017年9月3日の入荷情報

平成29年7月21日        
平成29年8月28日  (カ)追記
平成29年9月7日  (オ)追記
平成29年9月15日  (キ)追記

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(2) 小山飾り・寄せ植えのハイゴケ

(ア)

   

(イ)連日の雨、梅雨のハイゴケ


メカルガヤを信楽焼陶片に植えられた小山飾りです。

  

日照り続きの毎日。ハイゴケも茶色く茶色くなっておりました。連日の雨でもこれこの通りです。
休眠状態から成長モードなのですが、やはりこの季節の直射光線下のハイゴケは焼けており、盆栽或いは野草等の好日性の植物の 化粧用の張り苔には不向きであることがわかります。或いは庭園用にも光線量の多い庭には不向きであることがわかります。

平成29年7月21日 

(3) 苔玉に使用のハイゴケ

一般的にはハイゴケは「日陰の苔」とされています。山では木々の下、つまり林床に生育するイメージが強い苔です。
ところが、苔玉に使用したハイゴケ。これを一日中炎天下給水トレーに水を張り養生しました。


この画像を見る限り、ハイゴケは焼けていません。つまり、給水があればハイゴケは焼けないということになります。
そしてそれは、日陰の苔ではなくなるのではと考えられます。おそらくは降雨量との関係から林床の下へ移動した歴史があるのではと思います。 つまり、現在の降雨量がハイゴケを日陰の苔とたらしめた由縁かと思われます。
そして苔玉の管理のポイントが理解できるのではと思います。

平成29年7月21日 

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2.コウヤノマンネングサ

コウヤノマンネングサの生育地

於:京都丹波高原 2017年10月18日
(1)

川沿いの林床に生育が見られ、そこには山に降る雨水が地下水脈となってこの辺りを常に潤しているのではと考え られます。そしてそこには腐葉土が堆積されるような地形となっており、地下茎の発達したコウヤノマンネングサ が生育する好条件が揃ったところだったと考えられます。

(2)

  川沿いの林床に生育が見られ、そこには山に降る雨水が地下水脈となってこの辺りを常に潤しているのではと考え られます。そしてそこには腐葉土が堆積されるような地形となっており、地下茎の発達したコウヤノマンネングサ が生育する好条件が揃ったところだったと考えられます。

商品解説

1.お送りする株は※平成29年春入荷 自然のコウヤノマンネングサの場合
 (1).後々育ちの良いランナーの連なった、株として力のあるものを可能な限りお送りいたします。
  入荷時5月15日現在のコウヤノマンネングサは標高の高い山中に自生していたと見られ、画像を見る限りランナー(一次茎)
  の先端の新芽(二次茎)は成長が始まったばかりで新芽の展開が見られませんでした。
  その後5月末頃では新芽(二次茎)の展開がかなり進んでおります。株としての力がかなりあるかと存じます。

   
平成29年5月31日撮影 自然の株の状態です。   

 (2).上記の画像にあるような株が理想的ですが、何せ自然のもの。最低でも2、3本連なった株はランナーの先に成長点があり、
  到着後の特に春先の生育が理想的となります。

 (3)従来生ミズゴケを乾燥防止として使用しておりましたが、弊園がコウヤノマンネングサの生育地を調べるにつれ、
  そこはシノブゴケ或いはツヤゴケの生育地と重なっている場合が多く見受けられました。
  それにて好む環境がよく似ていると考えられますので、根巻きに使用する苔はシノブゴケとさせていただきます。
  (本来オオアオシノブゴケが最も湿生植物に近いと考えられるのですが、量的確保が難しくお許し願います。)

   
平成29年12月9日撮影    

  お送りする株は今春入荷しましたコウヤノマンネングサです。

2.自然の状態は
 (1).深山で見られる自然のコウヤマンネングサは地下茎によく似た仮根といわれる一次茎(ランナー)で成長して行きます。

平成28年2月 冬期休眠中  

  そしてその先端は新芽が出かけており、地上茎を成長させます。これを二次茎といい、この地上茎の葉に当たる部分を観賞しています。

  成長した二次茎は自然では高さ15にもなります。もっとも自然のコウヤマンネングサはこのような株ばかりでなく小株もたくさん見られます。

 (2).入手する良い株は
  ア)二次茎つまり胞子葉が最低でも2〜3茎あり、一次茎の仮根が元気よく成長することができることが最低条件です。
   この条件が後々コウヤマンネングサを育てる場合、育てやすい株となります。
  イ)胞子葉が1茎であっても仮根がしっかりしており先端の新芽の展開が見られる株
  ウ)もちろん胞子葉が5〜6株ある株はいうまでもありません。

3.お送りする見本株は(平成28年 春)
 (1). 1株で5〜6葉に育った株。お送りする株の中で数少ない理想株です。

  

 (2). 1株2葉の株が多く見られ、この場合3株を同一梱包にしてお送りいたします。

    

 (3). 1株1葉の株もそれなりに見られます。このような株は養生株にまわします。

    

育て方

1.基礎知識

(1).自然界では谷川の水の流れている沢の近くに自生が見られるようです。腐葉土の層に根を張って成長しているかと思います。

(2).それは腐葉土の層を取り除けばわかるかと思いますが、湿潤な水が充分ある或いは雨の後水がちょろちょろと流れているのではと思います。 つまり、根は乾燥を嫌い常に水分補給がなされているところに自生が見られるようです。
腐葉土は吸水力、保水力があり、しかも空気の流通も良い、自然界のなされる技には驚かされることばかりです。

(3).育て方のポイントは

(ア).育て方の大事なことは乾燥に弱いことが考えられます。家庭で育てる場合は根の部分が常に水に触れていることが重要なポイントかと思います。 幸いなことにコウヤマンネングサは水に漬けておりましても枯れることなく、根は常に水に漬かって育てまして何ら問題はないかと存じます。

(イ).上記の解説の通り、腐葉土の層に根を張り、後に解説しておりますポットでの栽培の育ち方をみますと 「水を好み・空気も好む」という湿生植物に分類されるのが合理的な育て方を可能にするかと存じます。

(ウ).従来、自然界に於いて腐葉土の層に根を張るコウヤノマンネングサを見て、腐葉土そのものを好んでいると勘違いされる ガイドやガイドブックが稀にあるかと存じますが、後述する「培養土は」にて解説しています通り好んでいるのは腐葉土では<なく、酸素を含んだ水です。

(エ).そしてそれこそが「コウヤノマンネングサを育てる最大のポイント」と言えるかと存じます。 新鮮な空気(特に酸素)を含んだ水がコウヤノマンネングサの地下茎に触れることこそ最大の恩恵であり、そして腐葉土の層に流れた水はミネラルを含む水となり コウヤノマンネングサに供与していたのです。
話は余談になりますが、近年「海のカキの養殖」にはこのミネラル水が有効であることが理解されてきたことでもわかるかと存じます。

(オ).失敗される原因はコウヤマンネングサが成長するに足りる水分補給がなされないことによる脱水症状から起こることです。
そしてバランスがとれるまで胞子葉は枯れて行きます。この枯れる現象に光線量が少し強い時には茶色くなる場合があるかと思います。
幸いなことにやはり苔です。枯れたと思いましても再生力は持っていますので、早く気がつけばそれだけ再生は早くなります。

(4).コウヤノマンネングサの水中の育て方
実はコウヤノマンネングサは水に強いということで多分昨年の夏頃だと思いますが、ハネの小株を洗面器に 漬けておきました。本来ならポットに定植しているところですが、忙しく、その内にと思っていたのですが、気が付けば洗面器から新芽を出しているではありませんか。

  
平成29年5月27日 撮影   

弊園ではコウヤノマンネングサは給水トレーで培養していただけに湿生植物と考えていましたが、上記の洗面器の 育ち具合から考えますと水生植物の抽水植物或いは沈水植物の性質も併せ持っている苔であることがわかります。
水生植物のコウホネは分類上抽出植物とされ、水中では水中葉を出し水中での観賞を可能としていることは 共通した性質なのかもしれません。
但し根が空気に触れることが少なくなりますので、後の解説にある給水トレーにて育てることと合わせて考えますと やはり育ちは少し劣るように思えてきます。

その後の成長

平成29年7月31日 撮影   

2.給水トレーを使った実験

(1).平成28年春以来数次に渡り入荷しましたコウヤノマンネングサ。 それより平成27年にはわずか入手しておりましたがどう管理してよいやら。
そこで考えましたのが給水トレーに常に水を満たして育てることでした。
この給水トレーを使いまして約一年を経過しております画像です。

 

(2).吸水トレーに養生しておりましたコウヤノマンネングサも冬の間、枯れたようになっておりましたが、 新芽が出てどんどん成長してきました。
但し、昨年は水だけでしたので草丈が低くなってしまったのですが、本年は液肥でもやればよいかと考えております。

  
平成29年5月4日 撮影   

入手しました折には腐葉土の層に根を張っておりましたので、そのままの状態で給水トレーで育てました。
本来コケは土が無くても育ちますので、発送時は根洗いをしまして腐葉土等を洗い流してお送りしております。
ポットに植えつけているのは、そのハネ(つまり一茎に一葉程度しかない小株)です。

(3).平地では4月から6月が成長期。よく育ってきました。

  
平成29年6月12日 撮影   

3.培養土は

土は苔にとって必要条件ではないのですが、コウヤノマンネングサを植え付ける際に安定させなければなりません。
その場合の利用は、決して腐葉土ましてやピートモス等の有機質の混入のない培養土「山野草の土」或いは赤玉土等で
植え込みます。
その理由は鉢植えにおいて培養土中のピートモス等有機質の混入が植物にとって良い結果を出すように解説される 場合が多いのですが、これは明らかに正しくないからです。
更にはテラリウムの場合、腰水にすることが多く、この場合は水の浄化作用に鉱物質の培養土が有効であるからです。

  
赤玉土・富士砂等の水の浄化作用の様子(左画像:鉱物質の土なし 右画像:鉱物質の土あり)

そして水の中に有機物がありますと、嫌気性菌の作用によりメタンガスの発生となります。
室内の場合、ガスの臭気が漂うことになります。

4.環境は

(1).明るさは
コウヤノマンネングサの自生地は深山と考えられ、かなり暗い林床に自生していると思われますので、 「夏 日陰の苔」に分類されるかと存じます。
この暗さを好むところからテラリウの室内観賞にも向いている 由縁かもしれません。

(2).風通しは
苔全般に言えるのですが、上手に育てるコツはやはり風通しです。自然環境では風通しの良いところに自生が 見られると思いますので、初心者の方はテラリウムより腰水による鉢植えで育てられることをおすすめします。

5.育て方の実例

(1).ポットでのコウヤノマンネングサの栽培と植え方
ア).給水トレーを利用した底面給水による栽培法がもっとも合理的かと思われます。

  

平成28年11月12日撮影   

ネットショップにて良株を発送し、販売に適さない残りの株を集めまして3号ポットに植え付けました。
中深のポットが見当たらず、適当に植えたのですが、浅かったり深かったりでした。

イ).植え方は通気性の良い弊園オリジナル培養土「山野草の土 1号」を使って一つ穴のポットを使用します。
排水性も良く、ゴロを底に使用することは意味が無いだけでなく、底面給水だけに吸水力もなければ なりません。かといって通気性も重要であってそのバランスの上に成り立っていることこそが コウヤノマンネングサの栽培上のポイントかと存じます。

ウ).そう考えますと、植え方の中で浅く植える、深く植えるということはあまり意味が無く、重要視するよりも 倒れなければ良い程度と考えて差し支えないかと存じます。

 

エ).ポットもビニーポットを使用、標準の深さ、中深、浅鉢と3種取り揃えましたが、今後は標準か中深ポットにて 栽培試験を行っていきたいと思います。
おそらくは中深ポットは最適ではと思うのですが、いかがでしょうか。

    オ).翌年春、平成29年5月、気温の上昇とともに新芽が出てきました。

       
平成29年5月4日撮影    

実は昨年度つまり栽培しまして2年目なのです、給水トレーの一部を少し日差しの強いところに置きました ところ、葉焼けまではしなかったのですが青みがなくなり茶色く変色しました。更には冬の弊園での冷風に よる葉の傷みは予想外でありました。
自然では冷風から守られたところに自生がみられるのではと思います。

カ).初夏の成長期です。よく育ってきました。今後ポット販売も視野に入れたいと思います。

  
平成29年6月12日 撮影  
   

昨年秋に植え付け、今春のポットでの育ち方をみますと「水を好み、空気も好む」という湿生植物の コウヤノマンネングサの育ち度は100%であると考えられます。
つまり空気の流通の良い「山野草の土」の使用と底面吸水というコラボが最適であることがほぼ誤りでは無いと思います。
ただし、草丈を伸ばすには日照をより暗くする必要があるのかもしれません。 深山幽谷と同様の明るさであればより伸びるかもしれません。

キ).盛夏の成長ぶりです。春四月から成長を始め、7,8月頃に最盛期を迎えます。

 
  昨年の胞子葉との比較

山野草的育て方をしますとこのようなボリューム感を持ったコウヤノマンネングサに育ってきました。
上記にあります洗面器のコウヤノマンネングサ、給水トレーのコウヤノマンネングサは水道水だけで育てております。 このポットの栽培は初めに化成肥料を施肥しております。このように育てるにはやはり肥料の効果が大きく寄与しています。

2017年8月24日 キ) 追加記入

(2).陶器鉢での育て方
野趣に富んだ育て方をすることがコウヤノマンネングサにとって理想的な成長をするかと思います。
乾燥を最も嫌うコケですので植え込みに使用するには、

ア).鉢は底穴のない水盤鉢を使用

  

イ).普通の植木鉢なら底穴を防水テープ等で塞ぐ。または受皿としてお皿を利用する。

ウ).コーヒーカップ、その他お気に入りの食器等を利用する。

  
平成29年6月12日撮影    
 

  常に水がたまるようにし、化粧に生ミズゴケを利用すると理想的なオシャレな観賞ができるかと思います。
コウヤノマンネングサは深山幽谷に自生するところから直射光線を嫌いますので建物の北側等明るい日陰に置いて 管理してください。もちろん風通しの良いことが最も大事なポイントです。
その場合の利用は、決して腐葉土等の有機質の混入の無い「山野草の土」或いは赤玉土等で植え込み、その土の化粧として 生ミズゴケを使用し、常に水がたまるようにすることが大事です。
但し、上記の解説にある通り空気も好むコウヤノマンネングサ。 常に満水にするのではなく、底面に2,3分の水たまりが良いのではと思います。

(3).ムラサキミズゴケを使った小山飾り
湿生植物に分類されるかと思われるコウヤノマンネングサを水盤鉢で即席に作ってみました。

 

底にはゴロ土を7〜8分目まで入れ、その上に生ミズゴケを敷きます。そしてコウヤノマンネングサを置き、回りをムラサキミズゴケで囲みました。
湿生植物の育て方である腰水による管理そのものです。

6.殖やし方(増やし方)~自然では~

(1).ランナー(一次茎)で増やす株分け法

ア).コウヤノマンネングサはランナー(一次茎)で地中を這い、二次茎の胞子葉を直立させて増えて行き、 適切な管理をすると年数とともに株は大きく育っているかと存じます。
一般的にはこのランナーをたくさん出させることが増殖法のポイントでは思います。
そして増えたランナーを早春の3月頃に胞子葉をつけてカットし、別個体とする、いわば一般の宿根草と何ら変わりのない、 なじみ深い増やし方です。その株は乾燥しにくいプラ鉢、ビニールポット等で定植し、腰水で管理すると便利です。

イ).

 
平成29年6月26日 撮影

弊園が一昨年よりコウヤノマンネングサを取り扱いまして過去最大の自然での株です。
その株を弊園オリジナル「山野草の土1号」を使って信楽焼植木鉢の山野草浅鉢に定植しました。

 

よく見ますと、一昨年の展開胞子葉から不定芽が見られました。
自然では古い葉よりこのようにして増えていく例があるようです。

ウ).定植した浅鉢を水の張った給水トレーに漬けました。 

 

屋外の山野草売店の棚下にて管理。おそらく1万ルクス未満の明るさではと思います。
どのように育って行くか、一年後の来年の今頃まで観察しなければなりません。

エ).コウヤノマンネングサの一生
定植してみますと、コウヤノマンネングサは2年前の胞子葉・昨年の胞子葉・今年の胞子葉の3世代までが 自然では見られるのではと思います。

オ).コウヤノマンネングサが茶色く変色するか?
この栽培法はコウヤノマンネングサにとりまして限りなく自然に近い状態です。
茶色く変色するのは日照が強いか、水分不足に陥ったか等の条件にて変色するかと存じますので、 その条件をクリアすれば何ら変色しないものと思われます。

(2).不定芽(無性生殖)
自然のコウヤノマンネングサの入荷状況を見ておりますと、”なるほど”という増え方が見られますのでご紹介したいと思います。 

ア).二次茎の胞子葉から不定芽の発生を見る
自然では何らかの原因で二次茎の胞子葉が親株から分離し、いわば自然の中で「さし木」状態となっている場合があるようです。
そのさし木が春4月頃より夏にかけて二次茎の茎や葉より発芽するのです

 

この個体はおそらく今年で3年目の株ではと思われます。
別の個体をみますと、さし木の株から一次茎のランナーによる成長が見られます。そのランナーは5芽程見られ、培養土の中で 今後二時茎の成長が見られ、より大きな個体へと成長するかと思います。

 

  前出画像の株と比較しましてこの株はさらに2~3年を経ているように思われます。

イ).一次茎のランナーより不定芽の発生を見る
上記と同じく、自然のコウヤノマンネングサの入荷状況を見ておりますと二次茎と同様、一次茎にも不定芽の発生が見られます。
やはり何らかの原因で先端の胞子葉が枯れたような状態になりますと、一次茎から不定芽の発生が見られます。

  

   おそらくは今春の発芽ですので2~3年後にはより大きな胞子葉が見られるのではと思います。

ウ).その他自然での繁殖の画像は

この胞子葉は取り扱っている間に折れてしまったのではと思いますが、どうも2年前の古い胞子葉であって 自然繁殖している例のよい見本かと存じます。

  

この胞子葉は入手するより以前か、入手時に折れたのか。いずれにしましても今春5月頃に折れたものと思われ、 不定芽が見られるよい例です。

(3).胞子より発芽を利用(有性生殖)
胞子葉より胞子の放出により発生した原子体。更に成長しまして苔の形にみえてくるのですが、それはそれは小さな株です。

 

コウヤノマンネングサの育っている腐葉土を取り除くには水洗いをしなければなりませんが、水洗い中に時折かわいらしい コウヤノマンネングサの赤ちゃんが見られます。おそらくは胞子から生まれたものと思われます。

3.スナゴケ

スナゴケの育て方

採取したスナゴケの育て方   
(ア) 自然のスナゴケの固まりをそのまま育てる

1.自然の状態

             

2.自然の状態を採取し、苔盆栽、庭園、テラリウム等には枯れ葉等を取り除き、群生した状態で培養土の上に置くと良い。

             

3.好日性のコケですので半日〜終日太陽の下で育てるのがよいかと思います。

4.水を好む湿潤性のコケですが、培養土(床土)は水はけの良い材質が良く、水はけが悪いと育ちが悪くなりますので注意が必要です。

5乾燥した場合休眠状態となり葉がチリチリと萎縮した状態となりますが、給水等により吸水しますと再び葉を広げみずみずしいスナゴケとなります。

6.春、秋の成長期には、うすい液肥等を散布するとより美しさが増すかと思います。

7.夏の高温時には成長を止め、暑さにより少し弱ったように見えますが給水はしっかりして下さい。

8.冬の寒さにはいたって丈夫で毎朝の霜,凍りつきには何ら問題ありません。

9.苔盆栽のように鉢植えの場合1〜2年で盛り上がったように成長しますので、葉刈りをして整形に努めて下さい。

約3ヵ月後のスナゴケ

  撒 苔         

1.用意した鉢の上へ細かくしたスナゴケを播くようにして育てる方法です。

葉刈したスナゴケの粉苔を播く方法です。
         

2.播き方

ア)苔盆栽等に似合う鉢を用意する。
   例:浅鉢を使用
          

イ)底穴に網を置き、針金で固定する。
 ① 

  

  

 ②少し丁寧な鉢金留

  

ウ)培養土は、苔盆栽の土を使用すると良いかと思います。
         

エ)管理が行き届かず、スナゴケが伸び放題になった鉢を用意する。
         

オ)ハサミで細かくカットしていきます。
     カットした鉢のスナゴケの状態
          
このスナゴケの再生は自然に成長していくのですが、やはり育ちは悪く、スナゴケをめくり培養土である「苔盆栽の土」を新しい土に入れ替えてください。
やはり苔といえども植物です。そしてスナゴケを新しい培養土の上に置いて更に整形してください。あとは水管理をするだけです。

カ)そしてカットした粉苔です。
         

キ)その粉苔を培養土の上へ播くようにしてきれいに整えます。スナゴケは土が隠れる程度に置いて下さい。
         

ク)乾燥しますと粉スナゴケが飛んでいきますので、鉢ごと吸水を兼ねまして水盤・お皿・給水トレー等に水を張り、底面吸水させてください。
      
活着するまで雨に当てないように注意してください。雨に当てますと活着していないスナゴケが飛散してしまい、思わぬ結果となります。

ケ)季節が良いと2~3週間で活着、新芽が動きだし成長していることがわかります。
      
草の芽もでてきましたなら抜いてください。そして戸外へ出して雨ざらしのたなへ置いてください。

コ)季節の良い秋です。育ってきましたスナゴケです。
      

サ)その後、スナゴケが育つよい環境の秋でした。
      
  左側:順調に育っていますスナゴケです。
  右側:播苔をしまして吸水トレーに少し長く浸けすぎました鉢です。
やはり水もたれしてしまいましてその後成長は今一歩です。培養土も排水性のよいものを使用して下さい。(さりとて乾きすぎるのもよくないのですが。)

シ)スナゴケも育ち、苔盆栽として楽しむ。
        釣人の翁を配し、その雰囲気を醸し出しています。
         

          育ったスナゴケです。                  釣人の添配です。
      

平成28年11月28日   

土を考える

(1) 基本的な考え    

(ア) 苔は土が無くとも育ちますが、それだけに自然環境下では乾湿の差が大きく、うまく育てるには培養土があることにより安定した環境を作り出せるかと存じます。

(イ) その培養土も諸説多々ありまして、どの解説が正しいのかということになります。
弊園で試作しましたところ・・

例:スナゴケ いずれも2017/06/19撮影
(A) 昨年秋、スナゴケをカットし床土には市販の赤玉土小粒を使用した上に播き苔をしました。
当初仮根が出ない間に乾燥させましたところ、粉苔は風に吹かれてどこへやら。
でも赤玉土を使用していることがよくわかる画像です。
(B) こちらは川砂というより山砂の使用です。
今では見られなくなりました花崗岩の自然風化した山砂。角張った理想的な砂です。
その上に同じ頃スナゴケの粉苔を播き苔に。
(C) そしてこの春(平成29年)育ったスナゴケは本当にきれいでした。
その後スタッフ共々仕事が忙しく、水やりも1日1回ができずに2日に1回という回数が多く、そして今日のスナゴケです。
赤玉土単体も、良質の山砂も外観は変わりません。
つまり、川砂がよいという説は理論に基づいたものではなく、結果として「入手しやすい安価な赤玉土で充分である」ということです。

(ウ) 空梅雨から一転してよく雨が降りました。

2017/06/29撮影
  左側より
赤玉土・山砂(川砂)・用土無し
  発砲スチロールにスナゴケだけを入れた培養土なしの養生です。
上面が少し焼けているのは西日がよく当たっているからではと思います。
  この小トレーのスナゴケも昨年秋に採取した、良く育っていたスナゴケです。
もちろん底面はネットだけです。
  左側より
赤玉土・山砂(川砂)・ネットだけの用土なし
この画像の三者三様を見る限り、雨さえ、つまり給水さえ充分であれば用土の条件は関係ないように思えてなりません。

(2) 実験結果のまとめ    

(ア) 手のひらサイズの苔盆栽から庭園まで、いまや全国どこでも入手しやすい安価な赤玉土を使用することが合理的であることがわかります。

(イ) 弊園では鉢(プラ鉢・陶器鉢等)で色々な苔を育てるには、通気性はもちろんのこと、見た目の良さ、品の良さ等で「山野草の土」を使用されるとことおすすめいたします。
植物が最高に育つことを究極に考えられた培養土です。苔ももちろん”コケ植物”という名前が正式なのですから。
テラリウム・苔ボトル等にも最高の品質を保証いたします。

準備中

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肥料について

(1)諸説色々あってというよりも、この解説に当たり初めて皆様の苔の育て方を参考にさせていただきました。
そして当方の見解は苔植物を上手に育てるには「初めに肥料ありき」です。

(2)なぜなら苔といえども植物の範疇に入るからです。
つまり葉緑素を含んでおり、光合成を行い、それによって成長しているわけですから、一般の植物と変わりません。だから苔は緑色をしているのです。
一説には北半球の高層湿原に分布する水苔のCO2の吸収は植物全体の何割かに当たると言われています。
そう考えますと苔も植物が育つ上でのミネラルつまりN・P・K窒素・リン酸・カリウムを始めとする10元素を必要とする植物に他ならないのです。

(3)弊園では苔にも肥料が必要というのは疑う余地がないものと考え、どのように施肥していくかと常に考えてきました。
例としてスギゴケの育て方2013年10月或いは11月の解説文中に「液肥を使うのが最も便利かと思います」と記しています通り、 この苔の育て方を本格的に解説してきました昨年2017年9月より常に施肥してまいりました。

(4)施肥例
 (ア)スナゴケ

  

苔の育て方 ~初心者必見~

弊園にて色々と試作しますと様々なことがわかってきます。
弊園では戸外自然栽培にて苔を育てています。それによって苔の性質も育て方も基礎がわかりますので、みなさまにおすすめです。  (1) 育てる季節は春が一番です。そして秋が二番。  

(ア) 当地、京都では桜の咲き終わる4月中旬に苔の成長が見られます。

(イ) それまで苔は休眠状態にあったのですが、春の雨とともに気温が上がり、苔は一気に新芽を吹き成長を開始します。

(ウ) そのため、3月から遅くとも4月上旬には育てたい苔を準備することが後々上手く育てるコツの第一歩です。

 (2) なぜ春が良いのか。それはコロニーを作りやすいからです。  

(ア) 弊園では約10年前に苔を主体とした商品を製品化。その後、他の商品へ移行。その間折にふれ以前の苔の話が出ます。 そのため、時折苔の試作をしましてその辺に置いておきました。

(イ) その中でもスナゴケは一番育てたい苔でした。
2013年9月に採取したスナゴケを大トレーに播苔をしまして、その後ハス園に置いておきました。

  

2013年9月21日 採取したスナゴケ

  

 実のところ何年もの間水を一回もかけたことがなかったのです。その当時、知識も無く大トレーに培養土の空袋に切れ目を入れ、そこに赤玉土を敷き、 スナゴケを播き苔にしたものでした。
それが昨年夏、ところどころに育っているスナゴケを見まして感動したものでした。

(ウ) よく育っているスナゴケと言いましても、ビニール袋がかなり劣化し、飛び散り、スナゴケも肩身の狭い思いで育ったことかと思います。 その育ったスナゴケを持ち帰り、鞍馬石のソゲ石に置き、一年経過したものがこちらです。

平成29年6月19日 撮影

(エ) 昨年秋、弊園の取引先の倉庫前にスナゴケがビッシリ生えているところがありました。
それを採取させていただきまして、小トレーにネットと新聞紙を敷いて養生したものがこれです。

平成29年6月19日 撮影

  底には培養土は無く、秋に採取した折には自然状態でかなり育っておりましたが、この春で更に育ったものと思われます。
ところが5.6月には作業が忙しくなり、毎日だった水やりが2日に一度、3日に一度となりましてトレーの外側の渕は少し焼けてきました。 やはり乾燥が早いと見えます。それ以来、焼け石ではなく焼け苔に水とばかりに 毎日頑張っての水やり。けれども茶色くなったスナゴケはなかなか緑には戻りません。
それでも、めくりますとこの通りです。

  
平成29年6月19日 撮影

  一旦群生(コロニー)しますと、そう簡単には枯れないのが苔の性質です。保水性が高まるのではと思います。

 (3) コロニーに育つかどうか。大きな違いです。  
昨秋より本格的に栽培を始めましたスナゴケです。イベント用の即売にと思いイチゴパックに穴を開け、培養土を入れ、その上にスナゴケを敷きました。

(ア) 多肉植物と同じ棚に置きましたので、水やりはつい忘れがちになってしまう置き場所です。
5,6月はハス園が忙しく、この棚はスタッフに任せておりましたが、思い出したようにある日見て驚きました。

 

上段右側のパックは山野草と同じ棚に置き、
可能な限り管理をしていたものです。
日中も水やりをしたものですから、少し蒸れたのかもしれません。

 
  同じ場所に置いてあったスナゴケ、多分焼けているだろうなと思っておりましたが、 昨年秋のイベント用に育て、売れ残っていたスナゴケは青々としていたのです。
水やりはどちらかというと放ったらかし。イチゴパックは乾燥防止にピッタリの容器だったようです。
平成29年6月19日 撮影

(イ) そして11月頃に先端部分だけをカットしまして播き苔をしたスナゴケはこれです。

   乾燥してしまっており、ミイラ化し、半端休眠状態になっています。

(ウ) こちらの右側パックは左側の先端部分だけをカットし、播き苔をした残りの下の部分の軸だけを播き苔にしたものです。

   成長点である苔の先端がないだけに、やはり成長スピードはゆっくりです。

(エ) 昨秋スナゴケを採取した時のトレーを6月初めより遮光してみました。

  

   採取時にトレーに新聞を敷いただけなのですが、良いとこ採りをしたスナゴケ。新聞紙も朽ちてしまいましたが、スナゴケは青々としているのです。
つまり遮光することにより乾燥防止となり、成長モードが続いている他ありません。

(オ) 売れ残ったスナゴケパックもこの通りよく育っています。

   そしてすぐに行動に移したのが、多肉植物の棚に置いてあったミイラ化したスナゴケパックを遮光の下に移動させたのです。

(カ) スナゴケだけに限ったことではないのですが、水分の補給さえあれば青々としてくること・遮光下に置き、乾燥を防ぎますとやはり青々してくること。 そしてその成長が充分になりますと保水力が増し、常に青々としたスナゴケが見られるのではと思われます。
逆に考えますと、苔は乾燥防止に茶色となり休眠状態になっていることがわかります。

(キ) ベランダ園芸で苔を育てるには
1). 一年を通して水分補給を充分にする。
2). 高温時の夏、水分補給が充分できない場合は遮光してやり蒸散作用の抑制に努める。
 苔も植物であって、一般の植物とそう違いはないように思えます。

 (4) 梅雨の雨   
梅雨入りしてから一向に雨がふらなかったのですが、ここへきて毎日のように雨が降りました。
すると一転スナゴケも成長モードに入りましたのです。

  浅鉢に何年かすると盛り上がるように成長しましたスナゴケです。苔盆栽としては立派かと思います。  
 
  6月19日 遮光の下へ移動したスナゴケも元気を取り戻していました。
イチゴパックに育てていましたスナゴケも青々としてきました。
右下段のパックは6月19日の画像では少し焼けていたのですが、他の3点も茶色く休眠モードだったのですが。
 
 
  2016年晩秋にスナゴケの軸だけを播き苔にした、乾燥がひどく、成長どころか縮まってしまっていましたスナゴケも、 保水するとこの通りになります。  
 
  遮光下で保水力を回復し、青々しくなっていましたスナゴケも更により美しく育ってきました。  
 
平成29年6月29日  
 
  雨の降らない空梅雨、休眠状態で少し焼けていましたが、一転してこの成長ぶり。
青々としてきました。
平成29年7月9日  
 

弊園では地下水脈がないだけに、自動灌水もできず、水道水を人の手で水やりしております。
よく考えますと、苔をベランダで楽しむ、或いは庭で楽しむ、苔盆栽を楽しむ方々と同一条件になっています。
苔をよく育てるにはやはり水であることがよくわかります。

 平成29年7月21日  

4.スギゴケ

1.オオスギゴケ

(1).オオスギゴケの生育地を訪ねる
(ア)山の斜面のオオスギゴケ

(A)2017年10月5日 滋賀県 信楽町
信楽焼植木鉢を仕入れに一路京都から信楽町へ新名神高速道路を利用せず苔を楽しめる旧道を走ります。
信楽町へ入りますと、茶畑が目につくようになります。以前は気にもしなかったのですが、苔、苔、苔はないかと目はキョロキョロ。 すると苔が近づいてくれました。サービス満点のオオスギゴケでした。

ここは茶畑が次々見られ、京都宇治に連なる茶所です。そこにオオスギゴケが生育していました。
やはり茶畑に降った雨が、茶畑が切れる道路沿いで再び雨水が滲みだし、 そこに水を好むオオスギゴケが自然に繁殖してくる様子をとらえています。

 そして他の茶畑はといいますと、

やはり同様のオオスギゴケ。やはり水の滲みだすところで生育しています。

(B)話は前後しますが、2016年12月9日 滋賀のとある自生地を訪ねました。
山の斜面にはスギゴケの群生が見られ、道路脇にも水が常に満たされている、つまり斜面からしみ出した水が 道路面を常に湿潤な状態にしているようでした。自生地の土壌は関西でどこでも見られる赤土、造園業界では真砂土 と呼ばれる土かと思われます。


2016年12月9日撮影

2016年12月9日撮影
滋賀県甲賀市付近の低山の山に苔を探しますと、山の斜面には自然のオオスギゴケの自生がみられます。 斜面全体に見られるのではなく、一部によく育ち、他には全く見られません。 スギゴケもかなり水分を必要とする苔ですので、おそらくはこの部分に地下水脈が露出しているのではと思われます。 山に降った雨がこの辺りからしみ出ていると考えられます。
このオオスギゴケはどちらかと言いますと日陰を好むスギゴケです。辺りは谷のようになっており、 一日辺りの日照量も少ないことと合わせますとこの近辺にはオオスギゴケの自生が見られるのではと考えられます。
近くで見ればきれいに育ったオオスギゴケです。 試しに引っこ抜きますと20cm位に育っています。 何年もかかって成長したのでしょうか。京都のお寺はこのスギゴケが有名ですが、市内のお寺のどこにでもスギゴケが見られるわけではなく、 前記に書きましたように山の麓とか、近いとか、或いは地下水位が高く常にジメジメしているとか、スギゴケの自生に条件がよいところかと思います。 同じ市内でも、庭が乾くところにはスギゴケは生育せず、スギゴケの美しい庭は見られません。

(C)よく育ったスギゴケを一部引っこ抜き、持ち帰りました。発砲スチロールに水漬け状態にしまして越冬。
当初は氷付毎日、スギゴケもうなだれたままの状態。そして春が来ても一向に動く気配はなしで、どうなるものかと多少気になっておりました。
ところが、その内にスギゴケが成長するのではなく、下からつまり赤土層から新芽が吹き出してきたのです。
そして水に漬けましたオオスギゴケの現状は、

 

2017年7月1日撮影

 

下から盛り上がるように成長する新芽のオオスギゴケですが、すると今まで成長を止めていました昨年度までのオオスギゴケも 心なしか新芽が吹き出してきました。
おそらくは全体的に群生し、丸い状態のコロニーとなってくのではと考えられます。

(D)

2017年5月3日撮影

 

実はこの画像、2017年5月3日「春とともにスギゴケが育ってきました」のオオスギゴケなのです。
この頃、右側の引っこ抜いた20cmもあるよく成長したスギゴケはまったくといってよい程成長せず、理由もわからぬまま 諦めておりました。それにてその頃の画像が無く、今にして思えば何で撮影しておかねばならないことに気が付いたものです。
よく育っていたスギゴケ程コロニーが無くなったショックというのでしょうか、回復は遅いことがわかります。
おそらくは20cmにも成長しておりますと、それ以上の成長は見込めなかったのかもしれません。 むしろ、成長の悪いオオスギゴケの方が、コロニー状態に近かったのか、、春一番成長したのは何事も経験です。

 

(E)いずれにしましても、これらの成長を見ておりますと水分がかなり必要とされることがわかります。
水分が充分ありますと、春4月より連続的に成長が見られ、美しいコロニーへと変身することかと思います。

(イ)道路脇のオオスギゴケ

山道を登って行きますと、片側は斜面、片側は谷川という地形。その間に舗装された農道が通っていました。

(A)その舗装された道路には


2016年12月9日撮影

2016年12月9日撮影
アスファルトの道路面には銀苔といわれる盆栽の張り苔に使われる苔が見られました。 そしてビロード苔です。こちらは正月の松竹梅の張り苔に使用されます。 好日性の苔ですが、夏の暑さには弱い苔です。

(B)そのアスファルトで舗装された道路脇にはオオスギゴケが群生している様子が見られました。 常に湿潤な土壌となっているかと思います。
おそらくは自然の雨が山全体に降り、この道路辺りにじわっとしみだしているのではと考えられます。

(C)山の斜面のようには成長していないのですが、当方も長年見ているわけではありませんので原因はわかりません。
但し、このオオスギゴケは採取していないのですが、斜面のオオスギゴケの成長の悪い部分の成長と同様と考えられます。

(D)

春とともにスギゴケが育ってきました
引っこ抜いたスギゴケを持ち帰り、発砲スチロールの容器に水を張り一冬漬けておきました。 冬の間は弊園の農園、川の横に苔栽培場がある関係で夜間相当冷えます。スギゴケも休眠状態。 一時はどうなることかと気をもみましたが、春の訪れと共に桜が散った後、きれいに育ってくるではないですか。ウキウキですねぇ。 実は上記に説明しておりますが、このよく成長したオオスギゴケ、採取した折にはそう良いオオスギゴケではなく、どちらかといいますと悪い状態でした。 ところが、この状態のものがより成長が早く、不思議といえば不思議です。何かスギゴケを育てるポイントの一つかもしれません。

記入  2017年5月3日

(2).夏の炎天下では

1)スギゴケの中では日陰を好むといわれるオオスギゴケなのですが、底穴の無い水盤鉢に常に水を張って育ててきました。
いわばオオスギゴケの苔盆栽。
本年2017年8月下旬はこの夏一番の真夏日。一般の植物のように根は発達しておらず仮根といわれる未発達な根だけあってその吸水力は弱く、 葉を閉じた状態になっています。

2)同じく底穴のない発砲スチロールのケースに常に水を張った状態で育てましたオオスギゴケですが、やはり葉は閉じてしまっております。

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(3).炎天下で水切れした場合

1)この夏一番の真夏日。水やりが間に合わず、気がつけば「真っ茶色」。
あわてて水をやって様子をみておりますと、2日目には元の元気なオオスギゴケがありました。

2)そしてそれを再現してみました。

2017年9月14日
給水せずに茶色く変色する状態にしました。

 

そして翌日
そうたいして変化のないオオスギゴケです。苔自体の組織の中でどのように変化しているのか、まったく不明です。

翌日

それから2日目。
翌朝見ますと、きれいな元の状態のオオスギゴケがありました。

二日後

そこには夜露が降り、朝日に照らされてキラキラと輝くオオスギゴケとのコラボが印象的でした。
小さい頃、最近では言われなくなりましたが「植木は夜露に当てると元気になる」と植物好きな方々はよく言われておりました。 最近では非科学的と思われるのか、そのような言は聞きませんが、でも改めて認識いたします。 「実は苔の育て方を解説に当たり、初めに 実際の水やり にて自然と同様の環境に置いてやることが大事と解説しておりますが、実はこのことなのです。何も苔だけに限ったことではありませんが、 植物を育てる上で夜露は大事です」と。
そして再度試験しましたが、同様であったことです。

2.ウマスギゴケ

(ア)京都のお寺といえばスギゴケです。

百万遍 知恩時 嵯峨 大覚寺

(イ)ところがそのお寺の庭を管理する植木屋さん泣かせの苔でもあります。
勝手に育つ庭もあれば、まったく育たない庭もあります。それは何かといいますと、やはり「水」です。

(ウ)弊園でウマスギゴケを軽石に育てましたところ、本年平成29年8月の盆を過ぎた頃であっても最高の猛暑日、 スタッフも一生懸命水やりをするのですが、試験的に作っておりました「おしゃれな苔盆栽」の素材であるウマスギゴケを水切れさせてしまいました。

平成29年9月20日の現状です

(エ)実はそのまっ茶にしてしまった8月の盆過ぎは左端の一つを除いてすべて焼いてしまいました。

といいますのも、置いてある棚が手作りで簡易的なものだけあって少し傾いておりました。それで水切れが右端より 順番に進んでいったのでしょう。そして首の皮一枚で1ヶが助かったぼです。
あわてて水をトレーに注いだのですが、このウマスギゴケはなかなか回復しません。

 

 回復力の違いはおそらく水切れした時間の問題かと思います。

(オ)回復の遅いウマスギゴケ
実はこの苔盆栽の水切れさせた失敗はウマスギゴケの特徴を皆様にわかりやすく理解していただくに見本のような実例です。
オオスギゴケは水切れしましても回復力はあり、2日後には元の姿に戻っているのに対し、ウマスギゴケは水上げが悪いといいますか、 一旦焼いてしまいますと回復力はかなり劣ります。

(カ)この回復力の劣っているウマスギゴケの特徴が従来より「庭にスギゴケを張っても枯れていきます」という現象になり、 造園業者にとっては京都市内の寺院に依頼されスギゴケをはっても水切れにより茶色く変色し、張りかえなければならない 状態になっているのではと思います。

(キ)日照を好むウマスギゴケであってもそこには水の補給がなければ育ちません。
やはりそこには条件が合ってその条件をクリアしている庭園は苔寺で代表される京都西山、そして北山、多くの社寺がある 東山といわれる周りを山々で囲まれ、その雨水が地下水脈となって庭園を潤している、いわば限定された地域に なっているのではないでしょうか。
そしてその特徴からみても湿生植物の範疇に入るものと考えられます。

(ク)それでは地域外は。
やはり作庭家達はどの時代もすばらしい創始者をうみだしていると見えます。そこには水のない庭園、つまり「枯山水」という表現力で 水の流れを抽象化しているのではと思います。

2017年10月4日 記入 

ウマスギゴケの生育地を訪ねて

滋賀県 信楽焼の里 陶芸の森に見る

準備中

スギゴケの育て方

1.湿生の苔
 ウマスギゴケは本来「日陰を好む」「湿地を好む」という2つの条件がうまくかみ合うことによって
 自然に育っているかと考えられます。

2.伏流水限定
 京都のお寺は苔の庭園が美しいと言われ人気スポットでもありますが、その立地条件は「山の裾野」つまり山に降った
 雨水が自然に滲み出すところ、伏流水が常にあるという立地条件が必ずといってよい程「美しい苔庭園」となって
 いると考えられます。

3.好日性の苔
 そしてウマスギゴケは耐暑性も持ち合わせる性質だったのでしょうか。水の補給さえあれば育つ条件になったとみえ、
 その美しい苔庭園には日光が散々と当たっている場合も少なからずみられたのでは?

4.ウマスギゴケを生産している苔生産業者も伏流水が充分あって太陽がよく当たっているところで
 生産されているようでした。或いはスプリンクラーを使用した自動散水による生産と考えられます。

5.その好日性だけの姿を見て、ウマスギゴケは「日光を好む」と解説され、基本の条件は無視された内容が
 このウマスギゴケの悲劇でもあったように思えるのです。

6.ウマスギゴケを育てるポイントは「水を好む」性質です。
 自然では、自然の雨だけが頼りであったため、ウマスギゴケは常に湿った条件、つまり伏流水がある、しかも
 乾燥が少ない山の日陰に生育地を見つけたものと思われます。
 同じ性質にはミズゴケがあるかと考えられます。
 弊園で吸水トレーを利用して実験しました。

 但し単なる水道水を冠水しておりましたので育ちは今一歩ですが、この実験を見ておりましても水が必要ということがわかります。
7.ではよく育てるには苔といえども植物です。
 一般の草花を育てるには水と肥料、そして日に当てるというのが基本かと思います。
 この杉苔も同じ管理かと思います。
 ア) 日照条件を考える。
 イ) 水を切らさない。(周りに建物、或いは樹木が全くなく、乾燥ばかりしているところは無理かと思います。
   やはりジメジメしているところが良いのではと思います。
   或いは成長期、或いは夏でも毎日朝夕水をやることに心掛けて下さい。
   要は乾燥させないことです。
 ウ) 肥料は
   やはり水を切らさないというのが鉄則ですから水遣りする時に液肥を使うというのが最も便利かと思います。
   但し市販の家庭用の液肥では高くつきますので要注意です。
   安価に上げるにはネットで安価な液肥を探してはいかがでしょうか。(探せない人は尋ねてください。)
8..枯れた場合は(よく相談を受けますが)
 実は苔は蘇るのです。
 この生命力は生科学者が研究しているはずです。
 例えばビロード苔といって道路の脇によく見られる苔があります。
 この苔は梅雨の頃は青々としていますが、夏の乾燥時にはどこにあるのかわからないぐらい乾燥しきっています。
 でも秋雨の頃になると青々とした苔が復元しているのです。
 つもりこの杉苔も一旦茶色くなっておりましても水さえやれば必ず青々とした苔に戻ります。
 その時に肥料を補助的に使えばより早く青々とした苔になります。
 そのようなことで諦めずに管理してやって下さい。

1.スギゴケと松ぼっくり

 杉苔を使った癒しの盆栽です。
 誰しもが作れ、育てられる苔盆栽です。

 植えて苔を張って一年間水道水だけです。ぜひ試して下さい。

3.コセイタカスギゴケ

4.コスギゴケ

5.ヤマゴケ

ヤマゴケについて

ヤマゴケは現在ホソバオキナゴケと少しキメの荒いアラハシラガゴケのシラガゴケ科の2種合わせましてヤマゴケと呼んでおります。
アラハシラガゴケの生育地と育てました画像は以下のようになります。

2017年10月18日 於 京都 丹波高原 2017年10月26日撮影 弊園にて培養

アラハシラガゴケの語源を思わされる生育をしております。

そしてマンジュウゴケとは

弊園にて培養したホソバオキナゴケ 「おかまりも」:ホソバオキナゴケを使用しております

弊園にて培養しましたホソバオキナゴケです。
実は近年も苔人気は更にヒートアップ。弊園が「おかまりも」を販売したのは約10年前。
その後もヤマゴケの美しさと人気は衰えず、採取業者も増え、乾燥しやすい里山近くに多くの生育地を見ることが出来たホソバオキナゴケ もその需要もうなぎ上り、新たに採取業者となった人々には深山に分け入り、素人目には区別の付かないアラハシラガゴケをヤマゴケとして 販売したのではと考えられます。
いずれもヤマゴケに相違なく、別名マンジュウゴケといってもあながち嘘では無いのかもしれません。
しかしながら育てますと、やはり違うのではと思えてなりません。
事実、弊園が長年取引をしております業者は決してアラハシラガゴケを混ぜることなく納品してくれていますので、わかる業者は わかっているのではと思われるのです。
弊園では今から約10年前ホソバオキナゴケの別名マンジュウゴケの特性を活かし、「おかまりも」という命名で大ヒットさせた 商品がございました。
現在、ホソバオキナゴケの産出量が少なくなっているのかもしれませんが、以前はアラハシラガゴケの流通は見られず、 マンジュウゴケという別名も本来はホソバオキナゴケの別名を指していたかと考えられます。
そのようなことで、約10年前に大ヒットしました「おかまりも」の当時の流通はホソバオキナゴケのみの流通であったかと考えられます。

ヤマゴケの育つ環境

1.比較的乾燥を好む苔かと思われます。
 自然においては、スギ林等の乾燥しやすく、比較的日照条件の悪いと思われる林床にみられるのではと思います。

2.具体的には、ヒノキの根元に半着生状態で育っていたり、ヒノキの落葉の堆積した上に育っていたりします。
 落葉はやはりヒノキだけに腐りにくく、通気性・排水性が更に良いかと思われます。

於 奈良 唐招提寺 2017年7月23日撮影

ヤマゴケの育て方

1.日陰を好み、日陰の苔の代表種といってもよいかと思います。盆栽の化粧等によく購入されているようですが、
 現実には葉焼けしてしまい、葉緑素が消え白化現象のようなことが起こり、その美しさはなくなっているかと存じます。
 ヤマゴケの使い方として直射日光下での張り苔には向かない苔といえます。
 
2.弊園のヤマゴケの育て方
 (1)乾燥気味に育てるという条件を可能にしてくれているのが新聞紙一枚の上に乗せていることです.
   「苔には根が無い」ということを理解していただきますと新聞紙で充分なことがわかります。
 (2)水やりですが、乾燥を好むということで毎日の水やりは避け、表面が乾き、白っぽくなったところで 水やりをいたします。新聞紙一枚ですから、保水力はなく比較的早くに乾燥するかと思います。
   そして春の成長期にうまく管理してやりますと上記の画像のように「美しさ100%」のヤマゴケと育っていきます。
 (3)そして育ちましたヤマゴケのアップ画像です。

 よく育ったヤマゴケを取りますと、詰め合わさった部分の成長がストップした状態で元の採取時の地肌が見られました。
 
3.夏の管理は水やりが多い高温多湿にご注意
 平成28年夏頃より赤玉土の上にヤマゴケを置き、管理しました。水やりは秋まで毎日のごとく、
 冬の間もハウス内に取り込みまして管理。水やりもそれなりに多くやりました。 
 そして春の成長期を迎えましたが、ご覧の通りの育ち具合です。やはり多湿では生育障害
 が生まれましてきれいには育ちません。くれぐれも多湿にならないように管理してください。

ヤマゴケの楽しみ方

1.弊園が過去一世を風靡しましたものが「おかまりも」の名称で販売いたしましたヤマゴケです。
 その他にも苔盆栽として次々ヒット作を販売いたしました。

1.おかまりも 2.かぐやひめ 3.石亭
4.禅 5.保津峡 6.太公望
2.おかまりもの管理
 (1)10年以上も前になるかと思います「おかまりも」の販売。
   その当時でも特別美しいヤマゴケを入手、即席で軽石に張ったものでした。類似品が出回ったのですが、
   似ても似つかぬものでした。それは当時の技術陣ともいえるスタッフの優秀さに他ならぬことでした。
 (2)折に触れ何かと昔の苔玉ことを言われる昨今でしたが、「おかまりも」を作るに足りるスタッフは
   今はもうおらず、さりとてその技術を持つスタッフも集まらず、何とかして昔の再現をと思いついた
   のが、育てるということでした。
 (3)そしてついに一年をかけて育てました現代の「おかまりも」です。
   雨のあとに撮影したものが下の画像です。しっとりと美しく育っています。
 (4)昨年夏前(2016年夏)にきれいなヤマゴケを選び軽石に植えました。
   昨年秋(2016年10月27日)その養生したヤマゴケです。夏から秋にかけよく成長し、それはそれは
   美しく育ってくれましたが、やはり野生のヤマゴケの域は脱し得なかったのかもしれません。
 (5)そしてこの春、桜の咲く4月。植物たちが一気に芽吹いてくれるのですが、このヤマゴケも
   見間違うばかりに育ってくれました。
   化粧仕立てに水盤とくらま砂のコラボによる作品の仕上がりです。
Lサイズ
Mサイズ
     いかがでしょうか。

6.シノブゴケ

(1) 自然のシノブゴケ 夏の入荷

(ア)2017年の梅雨、6月は空梅雨 シノブゴケもハイゴケと合わせて入荷。

2017年6月19日 入荷情報
ハイゴケも焼けておりますが、更に水を好むシノブゴケも同様に茶色く染まっています。
その後養生しましたシノブゴケはよく育ってきました。
約2ヶ月間養生したシノブゴケです 拡大
育てておりまして通常入荷後、春からの成長期であれば早ければ10日前後でかなり緑色を呈してきます。
通常1ヶ月もあれば美しいシノブゴケに変身いたします。

平成29年9月14日 記入

 

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